香港の不動産ブーム沈静化 今年の住宅価格上昇率、3%に鈍化予想

 香港の不動産ブームが沈静化しつつある。クレディ・スイス・グループはこのほどまとめたリポートで、香港の住宅価格上昇率は今年3%と見込まれ、2017年の13%値上がりから、伸びが大きく鈍化すると予想した。金利上昇リスクと住宅在庫増加が背景にある。

 クレディ・スイスのアナリストのスザンナ・レオン氏は、伸びの鈍化理由について「新築物件の供給加速が価格上昇率を中・長期的に圧迫する」と説明。株式投資家に対し最近数年の販売が力強い不動産開発会社を選択するよう助言した。クレディ・スイスは、最も選好する銘柄を長江実業集団(CKアセット・ホールディングス)と新世界発展(ニューワールド・デベロップメント)としている。

 レオン氏はリポートで、「17年以降、全体的な需要と価格の伸びが鈍化している」と指摘するとともに、「不動産開発会社のファイナンスは一般的にプライムレート(最優遇貸出金利)を指標としており、プライムレートが上昇すれば影響が広がる」との見方を示した。

 香港の不動産価格の先行きを懸念するのは、クレディ・スイスだけではない。「香港の住宅価格は、持続不可能な非合理的な水準にある」と指摘するのは、シンガポールの不動産プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社SCキャピタル・パートナーズだ。

 SCキャピタルの創業者スチャッド・チアラヌサッティ氏はこのほどインタビューに応じ、「印紙税などの相場沈静化措置にもかかわらず、投資家は投資ファンダメンタルズに反する購入を続けている」と警鐘を鳴らしている。

 国際通貨基金(IMF)は香港の住宅セクターを「好景気かつ過大評価」と分析。香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は先月、当局による抑制策が機能していないと指摘した。

 チアラヌサッティ氏によれば、シンガポールは住宅価格上昇をもっとうまく管理しており、バブルを防ぐため早期に介入する。「シンガポール政府は印紙税を通じて富裕層から資金を集め、それを公営住宅プログラムに投入している。一方、香港の公営住宅は小規模で、そうしたことを行う能力に欠けている」と語った。

 同氏は中国本土の買い手からの需要がバブルのような香港住宅価格の要因になっていると説明するとともに、金利上昇が香港不動産価格への打撃となる可能性があるとの認識を示した。(ブルームバーグ Richard Frost、Pooja Thakur)