欧州航空機大手エアバスは15日、超大型旅客機「A380」の生産中止の可能性を示唆した。550人乗りのA380は機体の大きさから利用可能な空港が限られるなど、中型・小型機の需要が高まる航空業界のトレンドと相入れずに受注が低迷しているためだ。主要顧客であるアラブ首長国連邦(UAE)のエミレーツ航空からの注文が存続の鍵を握っている。
鍵握る「需要基盤」
リーヒー最高執行責任者(COO)は「A380事業の継続を可能にする数の機体を購入できる航空会社はエミレーツだけだ。同社との協議は続いている」と明かした。ブルームバーグ・テレビのインタビューでは、「それほど遠くない将来に、エミレーツと解決策を見いだせると思っている。同社のような大手による強い需要基盤が当社には必要だ」と説明した。
エアバスは世界で最も多くA380を保有するエミレーツから、今後10年間にわたり毎年6機のペースで生産を続けられる規模の受注を目指している。リーヒー氏によると、さらに追加で2、3機を販売できれば、A380事業の利益はかろうじて確保できるという。
A380の受注の苦戦は数年前から続いている。ウィルヘルム最高財務責任者(CFO)は2014年、需要が伸びなければ生産打ち切りもあるとの考えを示していた。昨年7月に生産縮小を余儀なくされたほか、11月には期待されていたエミレーツからの受注が実現せず、A380の先行きに暗雲が立ち込めていた。