TPP11、3月8日の署名式で合意 首席会合、「凍結」22項目で協定文も確定

 離脱した米国を除く環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加11カ国による首席交渉官会合が東京都内で23日閉幕し、署名式は3月8日にチリで開催することが決まった。米国の復帰まで効力を棚上げする「凍結」対象は昨年11月の閣僚会合での合意から2つ増え、22項目とすることで協定文も確定した。6カ国以上の国内承認を経た上で来年以降に発効する。

 23日会見したTPP担当の茂木敏充経済再生担当相は「日本とアジア太平洋地域にとって画期的なことだ」と強調し、発効後は「TPPの拡大も視野に入れていきたい」と述べた。

 参加国の国内総生産(GDP)の合計は米国の離脱により、世界の約38%から約14%へ低下したものの、貿易・投資を高いレベルで自由化した経済圏がアジア太平洋地域に誕生することになった。日本が多国間の巨大自由貿易協定(メガFTA)交渉を主導したのは初めて。

 今回の会合では、早期署名に慎重な姿勢だったカナダの動向が焦点だった。カナダは自国文化を守るために外国からの投資を例外的に制限する「文化例外」を求めていた。

 各国はカナダの要望は協定の修正につながるとして意見の対立が続き、一時は同国抜きでの署名も視野に入っていた。だが、議長国である日本がカナダの説得に努め合意にこぎつけた。

 会合では、昨年11月の大筋合意時に継続協議としたカナダの要求を含む4項目が中心的な議題となった。

 カナダとベトナムが求めた項目については、関係国が協定文とは別の補足文書を交わすことで歩み寄った。追加する凍結対象は国営石油会社への優遇制限と、石炭産業への投資規制を見直す手続きで、マレーシアとブルネイがそれぞれ凍結を求めていた。