“ねじれ解消”が投資を刺激? 減速気味だったインド経済、再浮上のワケ (3/6ページ)

 ビジネス環境の改善受け投資の拡大も期待

 冒頭に説明したように、ビジネス環境の改善を受けた投資の拡大も期待できる。

 2017年に成長率を押し下げたGSTの導入についても、もともとの狙いは、税制の簡素化に伴う納税コストの減少、州をまたぐ最適なサプライチェーンの構築を通じた生産性向上・インフレ抑制、対内直接投資の増加、などを通じて景気を押し上げることであった。導入時に混乱を招いたのは、新税制に対応したITシステムの導入や納税に関わる職員のトレーニングの必要性など追加的な企業負担を伴ったからに過ぎない。

 これらの一連の改革を受け、世界銀行は、2017年10月末に発表した最新のビジネス環境調査のランキングで、インドを前年の130位から100位に引き上げた(図表2)。インドは、もともと総人口13億人、平均年齢25歳という若くて巨大な潜在市場を持っているため、近年の事業環境の改善は多国籍企業にとってインド進出に対する関心を高める要因になるだろう。

(PRESIDENT Onlineより)

(PRESIDENT Onlineより)

 2019年度に下院総選挙を控え、政治面からのバックアップも期待できる。今後発表される2018年度の予算案では、輸送・エネルギーインフラ開発や農村開発などに配慮した予算編成が行われるとみられる。これまで打ち出してきた「メイク・イン・インディア」、「デジタル・インディア」、「スキル・インディア」などの政策の実現に向けた新たな施策も打ち出され、インド国内で活動する企業の経営環境を改善することになるだろう。

経済改革ペースが加速し消費・投資マインドを刺激