航空競争で空港の収益拡大 アジア・太平洋 輸送力とシェア争う

クアラルンプール国際空港に駐機するマレーシア航空の旅客機=セランゴール州セパン(ブルームバーグ)
クアラルンプール国際空港に駐機するマレーシア航空の旅客機=セランゴール州セパン(ブルームバーグ)【拡大】

  • 上海虹橋国際空港内にある航空会社のチェックインカウンター前に並ぶ乗客ら(ブルームバーグ)

 アジア・太平洋地域の空港の収益が拡大している。同地域の航空各社が輸送力の増強と市場シェア獲得に重点を置いているためだ。航空交通量の増加と格安航空会社(LCC)の台頭によって、空港の稼働率の拡大が予想される。

 ◆レバレッジ効果大

 格付け会社フィッチ・レーティングスによれば、中国の航空会社の旅客1人に対する1キロ当たりの収入単価(イールド)は、今後5~10年の間、年間1桁台後半から10%台前半のペースで増加する見通しだ。航空会社よりもレバレッジ効果を得やすい収益モデルから、交通量拡大による空港への恩恵はさらに大きい。空港の営業費用の大半が固定費のため、発着便数や旅客数が増えれば一気に収益性が高まる。

 北京、上海、広州の空港は、中国の国際航空輸送を円滑にする上で引き続き重要な役割を果たすだろう。タイの空港、マレーシアの空港、シドニー空港およびオークランド空港は、それぞれ自国の航空市場での支配的立場を維持するだろう。

 中国の航空会社とLCCを中心に、アジアの航空会社は今後数年間、大幅に輸送力を増強していくだろう。旅客数の大幅な増加を受け、航空各社は長距離および地域内の短距離航路向けに、航空機を大量発注している。広胴機の発注では中国本土の航空会社とリース会社の比率が最も高く、長距離航路でのシェア拡大意欲がうかがえる。狭胴機ではLCCの発注が多い。今後も既存のフルサービスキャリア(FSC)に価格で対抗する構えと考えられる。中国南方航空、中国東方航空、中国国際航空および海南航空の長距離輸送能力の増強により、既存のアジア航空会社だけでなく、中国の長距離路線旅客の獲得を狙う海外の航空会社のイールドへも下押し圧力がかかるだろう。

 アジア・太平洋地域の空港では、航空会社の路線拡大による施設やサービスに対する需要増大が見込まれる。新たな航空会社の就航で、オフィススペース、サービスカウンター、ラウンジ、通信設備、その他の空港サービスの需要が拡大する。また就航する航空会社数が増えれば、一部の航空会社に頼る必要がなくリスクが分散され、空港の交渉力が強まるだろう。そうなれば、空港使用料や地上支援業務の料金引き上げ交渉がしやすくなる。

 ◆LCCで稼働率向上

 空港別の航空会社数も増加の一途をたどる。タイの空港に乗り入れる航空会社数は12年の115社から17年には135社へ増加した。オークランド空港に就航する国外の航空会社は15年から17年にかけて67%増加した。直行便増加に伴い、シドニー国際空港の国内航空会社への依存度も低下が見込まれる。

 LCCの就航拡大は空港の稼働率を押し上げる。LCCはターンアラウンドタイム(折り返しのための準備時間)が短いため、駐機場の回転率が高まるためだ。また、機種が同じであれば、座席数はLCCの方がFSCより通常25~45%多いため、より多くの旅客を輸送できる。加えて、LCCの発着枠はオフピークの時間帯であることが多い。アジア新興国では人件費が比較的安いため、ターンアラウンド時に必要な地上作業を迅速に行うための人材も確保しやすい。

 ターンアラウンドに要する時間は、FSCの約1時間に対しLCCは30分である。東南アジアではLCCの就航が急増している。タイやマレーシアの空港の1日当たりの旅客数と旅客機の発着枠は、今後増大する公算が大きい。(ブルームバーグ Denise Wong)