NYタイムズ、有料読者増へ無料記事半減

 米紙ニューヨーク・タイムズが2017年12月から、電子版サイトで無料閲覧できる記事の数を半減させた。“必読ニュース”が続々と飛び込む時代に、有料購読会員の増加を狙っている。

 5年ぶりとなる今回の改定では、無料で閲覧できる記事が1カ月あたり10本から5本に変更された。同紙の電子版やニュースアプリを制限なく閲覧できる有料会員の購読料は、月15ドル(約1640円)だ。

 トランプ米政権のスキャンダルやハリウッドを舞台としたセクハラ疑惑などの独占記事のおかげで、同紙の購読者数は急増。昨年9月には前年比60%増の250万人に達した。NYタイムズのエグゼクティブバイスプレジデント兼最高執行責任者(COO)、メレディス・レビエン氏は「ジャーナリズムへの需要がかつてないほど高まっているため、無料で閲覧可能な記事の削減を試すには絶好の時期だと判断した。質の高い記事は料金を払って入手すべきものだと人々に示すための環境が整ったと考えている」と述べた。

 フェイスブックやグーグルなどがオンライン広告市場でシェアを拡大する中、新聞社はデジタル事業の中核を広告販売から購読料収入へと移行させたい考えだ。

 NYタイムズ紙の電子版限定有料会員には、前四半期だけで15万4000人が新規登録した。有料会員の増加を受け、同社の株価は昨年11末現在、前年比で41%上昇している。

 だが、難しい問題もある。有料購読を促すための無料閲覧できる記事の本数を減らせば、サイトを訪れる人の数が減って広告収入が落ち込む恐れがある。

 レビエン氏は、同紙の無料記事の削減は、デジタル広告事業に軽度の影響を与えるとみている。同事業の業績は前四半期で前年比11%の成長を遂げたが、印刷広告事業の20%減を相殺するには至っていない。

 電子版ニュースサイトでは他紙も、無料閲覧できる記事の制限に動いている。米紙ウォールストリート・ジャーナルは昨年2月、グーグル検索を通した無料記事の提供を中止した。NYタイムズも昨年6月以降、ソーシャルメディア経由の利用者が無料で閲覧できる記事に制限を設けている。フェイスブックやツイッター経由で読まれた記事については、以前は無料閲覧数にカウントされていなかった。

 同紙は有料購読者を増やす試みとして、他のメディア企業との提携も模索中だ。昨年から音楽配信大手スポティファイの音楽聞き放題サービスが受けられる購読プランを導入している。(ブルームバーグ Gerry Smith)