政府は15日、サービス業中心に生産性向上をはかる官民会議「生産性向上国民運動推進協議会」を首相官邸で開き、新たに建設業、学習塾など5分野で具体策の検討を始めた。仕事の効率化や質の向上に焦点をあて、IT導入などで長時間労働の是正にもつなげる。政府は支援の“実動部隊”として、官民連携のネットワーク「プラットフォーム(基盤)」を設立することも発表した。
政府は平成30~32年度を集中投資期間とし中小企業の生産性向上を100万社規模で進めるとしている。官民会議は昨年5月設置され、今会合が3回目。安倍晋三首相や茂木敏充経済再生担当相、世耕弘成経済産業相ら閣僚や業界関係者ら300人超が出席した。
会合ではこれまで、「宿泊業」「飲食業」「道路貨物運送業」「介護」「小売業」の5分野を検討してきた。今回は「医療業」「建設業」「生活衛生業(クリーニングなど)」「学習支援業(学習塾など)」「農業」の5分野を加えた。
会合では各業界の課題や成功事例など踏まえ、必要な対策を確認。たとえば、学習塾などは業務量が多く離職率が高いため、IT化による作業軽減などを進めるとした。
また会議では、世耕氏が「中小サービス等生産性戦略プラットフォーム」を16日付で新設すると発表。業界ごとに適したIT導入や「カイゼン」の手法、成功事例を集めて共有し、中小サービス事業者に情報提供する。
経産省など関係省庁や経済・業界団体、メーカーなどのITベンダーが参加。1年で1千回以上、セミナーや説明会を開き、IT導入手法を指南するトレーナーを育成する。政府の29年度補正予算に500億円計上されたIT導入支援のための補助金の活用も促す。