72歳シェフの屋台が名所に タイ ミシュランで一つ星獲得

 タイの首都バンコクのレストランを格付けする「ミシュランガイド・バンコク」で、並み居る有名レストランとともに1軒の屋台食堂が一つ星を獲得した。72歳の女性シェフが豪快に作るシーフード料理を目当てに客が毎日殺到、首都の観光名所の一つになっている。

 バンコク中心部の屋台食堂「ジェー・ファイ」だ。道路脇の調理場で、煙よけの防塵(ぼうじん)眼鏡に黒のニット帽姿のスピンヤ・チャンスタさんが一心不乱に鍋を動かす。顔のほくろがトレードマークで、店名は「ほくろのあねご」を表す。

 スピンヤさんの長女、ワリサ・チャンスタさんによると、看板メニューはカニオムレツ。800バーツ(約2720円)と一般的な屋台の約10倍はするが「食べてみたら、その価値が分かった」と台湾からの女性旅行者は納得の表情を浮かべた。このオムレツには、ほくほくのカニ肉がぎっしり詰まっている。

 カニやエビなどの素材はタイ南部の漁師から直接仕入れる。「新鮮さが自慢」とワリサさん。スピンヤさんは40年来、炭火を使うことにもこだわっている。

 店内と路上に合わせて10テーブル。営業時間は午後2時から午前1時までだが、午後8時ごろには当日分の予約がすべて埋まってしまう。

 調理は主にスピンヤさんが担当し、注文を受けてから料理が出るまで1、2時間待ちは当たり前。真っ赤な炭火と防塵眼鏡のスピンヤさんの姿を撮ろうと屋台食堂の客や観光客、通行人が次々とカメラを向けるが、スピンヤさんはお構いなしに調理に集中する。

 アイルランドから新婚旅行で来た技師、ジェミー・ジョンストルさんは「インターネットで調べて、わざわざやってきた。オムレツは最高。旅の良い思い出になった」と満足げに話した。(バンコク 共同)