【論風】安倍政権、目に余る「官邸主導」 民主的な政策決定に回帰を (3/3ページ)

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 もう一つ気になるのは、官僚人事が官邸に握られていることだ。2014年5月に首相のお膝元である内閣官房に内閣人事局ができ、省庁の次官、局長そして審議官の600件余りの幹部人事をまとめて管理することになった。具体的には幹部クラスになれそうな人の情報を集め候補者リストを作成、これを基に首相、官房長官、大臣などが人事を決める仕組みになった。

 これでは時の政権を批判する官僚など出てくるはずがないだろう。昨年の流行語として「忖度(そんたく)」が脚光を浴びた。昨年、森友・加計学園問題で首相は国民から、この忖度の有無をめぐって疑惑を持たれたが、このように人事権を握られた官僚が官邸主導の決定に抵抗し難いのは容易に想像がつく。

 このように官邸主導が目に余る現状である。首相の独断から、民主主義の下での政策決定の方に軸を戻す必要がある。

【プロフィル】石弘光

 いし・ひろみつ 1961年一橋大経卒。その後大学院を経て、講師、助教授、教授、学長。専攻は財政学。経済学博士。現在、一橋大学ならびに中国人民大学名誉教授。放送大学学長、政府税制調査会会長などを歴任。80歳。東京都出身。