米国を除くTPPで参加11カ国が正式に合意したのを受け、日本政府はまずは発効を急ぎ、TPP11をモデルにした自由貿易の推進を狙う。
日本は主導権を握りつつ加盟国の拡大を見据えるが、鉄鋼の輸入制限の発動を決めるなど、今後は保護主義的な動きを強める米国をいかに取り込めるかが課題となる。
「コロンビアが関心を示している。そうした国や地域にTPPに関する情報提供を行っていきたい」
茂木敏充経済再生担当相はチリで、具体的な国名を挙げながら、新規加盟国を増やしていく考えをこう強調した。
TPP11には、自国の経済成長につなげようと英国や韓国、タイなども興味を示す。こうした国を歓迎する背景には「米国をTPP11の枠組みに復帰させる」(交渉筋)思惑もある。
トランプ米政権はTPP復帰を検討しているものの、実際には再交渉を条件にするなど強硬な姿勢を崩していない。
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■「米国第一主義」牽制、RCEP交渉に弾み
このため、日本政府は米国抜きでも自由貿易圏を拡大できる姿勢を明確にし、あくまでTPP11の交渉をリードしてきた日本が主導権を握る形で、米国の自発的なTPP復帰を促す狙いだ。