TPP、早期発効に3つの波乱要因 参加国の足並み、乱れかねないそれぞれの事情

TPP署名式後に会見する茂木敏充経済再生担当相(中央)=8日、チリ・サンティアゴ
TPP署名式後に会見する茂木敏充経済再生担当相(中央)=8日、チリ・サンティアゴ【拡大】

 米国を除く環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加11カ国が新協定に署名したことを受け、各国は早い段階での発効に向け国内手続きを本格化させる。日本政府も3月中に関連法案を国会に提出するが、今国会では、いわゆる森友学園問題などをめぐり議論が紛糾。各国の政治リスクや米国の復帰に向けた再交渉要求も含め、発効に向けて先行きは波乱含みだ。

 「きちんとTPP11の中身について議論できればいいのだが…」

 日本の交渉関係者は国会審議の見通しについて、不安げな様子で話す。

 というのも、2016年に署名した米国も含めた元のTPPの国会審議では、閣僚による失言をきっかけに与野党が激しく対立。関連法案の通過が大幅に遅れた“トラウマ”がある。

 今回の審議でも与党の失策で野党が勢いを増せば、6月の会期末までに国会を通せない懸念がくすぶる。交渉を主導してきた日本が承認に手間取れば、他の国でもTPP11発効の機運がしぼみかねない。

 2つ目の波乱要因は、他の参加国の政治リスクだ。例えば、メキシコは7月に大統領選を控えている。仮にメキシコで政権交代があった場合、米国でトランプ政権が誕生しTPP脱退を表明したように、すんなりとTPP11が承認されるとはかぎらない。

 3つ目のリスクはトランプ政権。TPPへの復帰を検討するが、あくまで再交渉が条件だ。複雑な利害が絡み合い“ガラス細工”にも例えられるTPP11は再交渉になれば合意までに「5、6年かかる」(交渉筋)。それでも巨大な米国市場が魅力的であることに変わりない。日本政府は11カ国での発効を優先させるが、参加国の足並みが乱れる可能性も否定できない。(サンティアゴ 高木克聡)