中国、米国に農産品で報復関税か 「正当な権益を守るため有効な対抗措置を取る」と談話発表

※画像はイメージです(Getty Images)
※画像はイメージです(Getty Images)【拡大】

 中国商務省の王賀軍・貿易救済調査局長は9日、トランプ米大統領による鉄鋼とアルミニウムへの輸入制限の正式決定に対し、「中国の正当な権益を守るため有効な対抗措置を取る」との談話を発表した。米国産の農産品などに高率の報復関税を課す案が浮上している。

 王氏は米側の決定が「多国間の貿易体制を壊し、正常な国際貿易秩序に深刻な打撃を与える」とし、欧州勢などとも連携してトランプ政権に対抗する考え。

 だが、昨年は2758億ドル(約29兆4000億円)に上った過去最大の対米黒字を抱える中国は「米中貿易戦争になれば不利なのは中国側」(市場関係者)と踏んでいる。国内の対米強硬派を押さえながら、貿易摩擦を回避する道も模索。今後は対抗措置の規模や時期を慎重に検討していく。

 開幕中の全国人民代表大会(全人代=国会)で李克強首相は、指摘されている鉄鋼の過剰生産問題で、さらに年間3000万トンの生産量を削減する方針も明らかにした。

 一方、鉄鋼では中国からの米向け直接輸出に加え、最終加工をベトナムで行い「ベトナム製」として対米“迂回(うかい)”輸出するなどの手口も横行していた。(上海 河崎真澄)