国交省、港湾の釣り施設整備支援 訪日クルーズ旅行の魅力向上図る

※写真はイメージです(Getty Images)
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 国土交通省は、観光分野での港湾の活用推進に向け防波堤などに釣り施設整備を進める港湾を支援する。事故防止のための安全対策のほか、地域の飲食店などと連携したサービスの企画を後押しする。国内愛好家の来港を後押しするほか、釣り体験をクルーズ船で来航する訪日外国人旅行者向けの観光プログラムとして普及させる狙い。

 日本釣振興会と連携して青森や秋田の2港に転落防止フェンスやはしごなどの安全対策をした上で、道具が貸し出しできる釣り施設としての整備を進める。釣った魚を近隣の飲食店で調理できるサービスなども議論する。今後は同種の取り組みを進める港湾を「みなとフィッシングパーク(仮称)」として手続きや資金面での支援を行う。

 国交省によると、港湾は原則的に船舶が寄港する岸壁では釣り目的の利用が禁止されており、全国に933カ所ある港湾のうち、釣り施設のある港湾は50カ所にとどまるなど、観光施設としての利用が進んでいない。一方、釣りは国内外でレジャーとしての人気が根強く、海外クルーズ大手のプログラムにも海釣りが組み込まれている。

 フェンス設置や地元飲食店、温浴施設などと連携して釣り施設の整備を進めた熱海港(静岡県)では2006年から、鉄道や旅行会社が釣りに関する旅行商品なども企画。16年には防波堤利用者が3倍になったほか、近隣店舗の収益が約2割上昇した。

 政府は訪日客数増加を目指してクルーズ寄港を後押ししており、16年は全国123港にクルーズ船が寄港した。港湾が釣り施設として開放が進めば、訪日クルーズ旅行の魅力向上が期待できるほか、水産庁とも連携した日本の魚食普及にもつながる。