【論風】ロシアなど29カ国が実施 サイバープロパガンダにご用心 (2/3ページ)

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 英国民投票でも

 また、同年の英国民投票でも、フェイクニュースが投票に大きく影響したといわれている。フェイクニュースは一見本物に見え、一般の人々はその情報を信じて拡散してしまうため、対処が極めて困難であり、費用対効果の高い世論操作手法となっている。

 今ではフェイクニュースという言葉自体が威力を持ち、権力者や専門家が、意見の相いれない正規サイトや既存のメディアのニュースをフェイクニュースと呼んで攻撃するまでになっている。

 サイバープロパガンダの多くは国家の軍やインテリジェンス(諜報)機関によるものだが、「アノニマス」のようなハッキングなどの手段を使って社会的政治的な主張を繰り広げる「ハクティビスト」と呼ばれる集団もこの手法を利用する。

 ロンドン五輪の際、サイバー攻撃のリスク評価で一番懸念されたのが、開催国の評判を落とそうとするハクティビストの攻撃であった。

 以上のような攻撃に対し、フランスではマクロン大統領が今年1月、フェイクニュースから民主主義を守る法制度を導入すると表明し、嘘や風評を流すメディアを監視する規律当局の権限を強め、放送停止など強い措置がとれるよう検討を始めた。

 しかし、表現の自由や言論の自由の面から公的機関の過度な取り締まりは検閲につながりかねず、そこには民主主義のジレンマが存在する。

 サイバープロパガンダに対処する方法の一つが、敵のプロパガンダに対抗するために組織的キャンペーンを展開したり、嘘であることを証明したりする「カウンタープロパガンダ」だといわれている。

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