市場は「ラニーニャ」先取り 大豆生産減少、食用油など価格上昇

ブラジル東部アチバイア近郊の大豆畑(ブルームバーグ)
ブラジル東部アチバイア近郊の大豆畑(ブルームバーグ)【拡大】

 アルゼンチンや他の中南米諸国が干魃(かんばつ)に見舞われ、ラニーニャ現象による農業生産への影響が出始めている。米国は間もなく作付け期を迎え、オーストラリア気象局などの見通し通りにラニーニャ現象が早期に消滅しなければダメージはより深刻なものとなるだろう。

 暑く乾燥した気候が世界第3位の大豆生産国アルゼンチンを襲い、予想生産量が引き下げられた。大豆の収量は低下する恐れがある。

 この現象は通常9カ月以上続くため、間もなく作付け期を迎える世界最大の大豆生産国、米国にも悪影響が及ぶだろう。前回のラニーニャ現象以降は良好な気候が続いたため大豆農家では在庫が積み上がったが、減少に転じる見通しだ。ドイツの調査会社オイル・ワールドは、アルゼンチン、ボリビア、ウルグアイの生産見通しを下方修正した。

 大豆ミールは、世界最大の輸出国であるアルゼンチンの干魃で生産量が減少し、価格が上昇している。大豆油の在庫が減少したことで食用油全体の在庫が減少し、今後はパーム油や他の食用油の価格も上昇が見込まれる。大豆に代わる油糧種子である菜種の価格は3月5日までに大豆価格の上昇に次ぐ上げ幅となった。トウモロコシの価格も上昇した。大豆ミール価格の急騰から、農家がトウモロコシより大豆の作付けを増やせば供給が減少すると見込んでいるのかもしれない。価格高騰で大豆圧搾の収益性は向上し、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)、バンジ、ウィルマー・インターナショナルなどの圧搾企業が恩恵を受けた。

 オイル・ワールドは南米の大豆生産予想を1300万トン引き下げた。世界の大豆生産量は710万トン減少する見通しで、これは食用油240万トン分に相当する。ファースト・リソーシズ、クアラルンプール・ケポン、ゴールデン・アグリリソーシズ、IOIなどのパーム油企業への追い風となる。需要の一部は菜種で補われ、生産量が270万トン程度、食用油換算では50万トン分増加する見通しだ。残りはパーム油で補われるだろう。パーム油の収量は回復しており、価格が上昇する可能性がある。

 農産物価格の上昇で、豚、サケ、家禽(かきん)などの食肉生産者の利益率に下押し圧力がかかるだろう。養豚農家は飼料として主に大豆を、養鶏農家は主にトウモロコシを使用する。マリンハーベストなどのサケ養殖企業は、飼料の最大50%の主要成分として大豆、トウモロコシ、小麦、エンドウ豆を使用している。食肉生産者のコストの最大45%が飼料のため、大豆やトウモロコシの価格が10%上昇すると、粗利益率は最大1.26%悪化する可能性がある。ジャプファ・コンフィードのような養鶏企業では、農産物などのソフトコモディティーがコストのより大きな部分を占める。(ブルームバーグ Alvin Tai)