アジア富裕層の資産争奪戦 高い収益性 金融は虎視眈々 (1/2ページ)

 アジアは今後2年間で北米を抜き世界で最も豊かな地域となる見通しで、域内の高い成長を背景にウェルスマネジメント事業のM&A(企業の合併・買収)急増が予想される。収益性が高い成長市場での資産獲得を目指す世界のウェルスマネジャーの注目がアジアに集まるだろう。

 富の創出で先導役

 中国とインドを中心に、世界の富の創出でアジアが先導役となる可能性が高い。ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)は、香港とシンガポールが牽引(けんいん)し、2019年末までに日本を含むアジアの家計金融資産の合計は北米を抜き世界最大になると予測する。16年は北米が1位、西欧が2位だったが、17年にはアジアが西欧を抜いて2位に浮上したもようだ。

 シティグループは18年、運用資産残高(AUM)の2桁成長を見込む。英銀バークレイズとドイツ銀行は、それぞれアジア富裕層向け事業の再構築を進める可能性がある。16年には、中国とインドの運用資産がそれぞれ前年比13%、11%増加した。日本のAUMは主に既存資産の運用で同1.1%伸びた。

 プライベートバンクやウェルスマネジャーは、富の創出で世界をリードしつつありウェルスマネジメント事業がブームの様相を呈しているアジアで、運用資産の獲得を急ぐ可能性がある。特定の顧客セグメントや商品、またデジタル分野では特定の能力の獲得意欲が買収を後押しするかもしれない。技術革新が勢いを増す中、規模による効率化という面が買収への関心を加速させる公算が大きい。

 シンガポールと香港がアジアのウェルスマネジメント事業の中心であることに変わりはないが、中国のフィンテック企業やインドネシア、インドの銀行もこの分野に注力する可能性が高い。UBSグループ、シティグループ、クレディ・スイス・グループはアジアの資産運用で高い順位を維持しているが、オーバーシー・チャイニーズ銀行(OCBC)のプライベートバンク部門バンク・オブ・シンガポールやDBSグループ・ホールディングスをはじめとするアジアのライバルも、事業を拡大してシェアを獲得すべく、既に買収に着手している。

規模獲得が不可欠