【視点】迷走する日本郵政グループ 描けない完全民営化のスキーム (1/3ページ)

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  • 産経新聞経済本部編集委員福島徳

 □産経新聞経済本部編集委員・福島徳

 2017年3月期連結決算で民営化後初の最終赤字に転落した日本郵政グループをめぐり、政府・与党が新たなスキーム(枠組み)づくりに動き出している。全国に展開する郵便局網を維持する費用を捻出するため、グループ会社のゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の金融2社が日本郵便に支払う窓口業務委託手数料の一部を、消費税のかからない負担金に衣替えさせようというのだ。

 金融2社は現在、日本郵便が束ねる全国の郵便局の窓口にそれぞれ業務を委託している。16年度に日本郵便に支払われた手数料は2社で1兆円を超える。

 新たなスキームは、自民党の「郵政事業に関する特命委員会」(細田博之委員長)が中心となって検討している。負担金は第三者機関を通じて日本郵便に交付金として支払うというものだ。その額は2000億~3000億円程度を想定、減免される消費税200億円程度を別途日本郵便に渡して、郵便局維持に充てる。

 現行の郵政民営化法では日本郵政と、その完全子会社の日本郵便に金融を含めた全国一律サービスを義務づけている。郵便局はそれを担保する拠点で、全国に約2万4000局が張りめぐらされている。不採算地域も多く、民営化前から郵便局の7割は赤字とされてきたが、国営時代と同水準の局数が維持されているのは全国一律サービスが課せられているためだ。