中国、生保と証券の外資規制緩和を前倒し 人民銀行総裁が発言

 【博鰲=西見由章】中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁は11日、金融業の開放拡大に向けて、外資企業に対する市場参入規制の緩和を前倒しで実施する考えを示した。数カ月以内に生命保険と証券の出資上限をいずれも51%に引き上げ、3年後に出資制限を全廃する。現在、外資企業の出資上限は証券が49%、保険は50%で、これまで保険は5年後に全額出資を認める方針が示されていた。

 海南省で開かれている「博鰲アジアフォーラム」の分科会で発言した。習近平国家主席は10日の基調講演で、米国の通商圧力をかわすため、外資の市場参入を大幅に拡大すると表明していた。 

 易氏によると、外資系保険会社の経営範囲も中国企業と同程度まで拡大する。いずれも6月末までの実施を目指すとした。さらに今年末までに外資系銀行の業務範囲も大幅に拡大する。

 易氏は一方で「監督能力を開放の程度と一致させなければならない」と述べ、金融当局の監督権限を強化する姿勢も示した。

 易氏は同分科会で、米国との貿易摩擦が激化していることに関連して「中国が人民元の切り下げによって貿易の争いに対処することはない」と述べ、輸出増を目的とした通貨切り下げは行わないと言明した。