5秒で顧客をつかむオンライン戦略 エスティローダーの掲げる「デジタル・ファースト」 (1/3ページ)

 米エスティローダーのような化粧品会社にとって、オンライン顧客を引き付けるために使える時間はおよそ5秒間だ。

 「その5秒を過ぎれば大半の買い物客の注意はよそへ移っていく」。同社傘下の化粧品ブランド「クリニーク」でコミュニケーション部門幹部を務めるラリサ・キット氏は、先ごろ米ニューヨークで開催された従業員向け研修会でこう述べた。

 だからこそ、エスティローダーはその5秒を最大限に活用したいと考えている。同社の戦術の中には、インフルエンサー(ソーシャルメディアで影響力を持つ個人)を引き入れて化粧品の使用法を紹介する動画を「ユーチューブ」に投稿してもらったり、美容部員がフェイスブック上で顧客の相談に応じたりすることも含まれる。現地の言語を用いたコンテンツで地域ごとの好みに対応するほか、デジタルツールを通じて顧客がリップスティックやアイシャドーなどを疑似的に試せるようにしている。

 店頭販売から転換

 エスティローダーの掲げる「デジタル・ファースト」理念に基づく取り組みは、これまでのところ奏功している。

 最近の四半期で売上高は増加し、株価は過去約12カ月で75%上昇した。21人のアナリストが「買い」を推奨し、7人は「保有」。「売り」判断は皆無だった。

 化粧品業界が百貨店やドラッグストアを中心とした従来の店頭販売からオンライン販売へと転換していく中、エスティローダーは「非常にうまく変化を予測した」と、キーバンク・キャピタル・マーケッツのアナリスト、ジェーソン・ギア氏は語る。エスティローダーのデジタル戦略は業界他社より5年は進んでいるという。

 地元から200人の社員と、遠隔地からも650人以上が参加した前出の研修会は、混沌(こんとん)としてきた電子商取引(EC)市場で勝ち残るための取り組みの一環だ。オンラインでは独立系の新興化粧品ブランドが続々と参入し、熾烈(しれつ)な価格競争が繰り広げられている。

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