アメリカに根強い円の割安論…2国間協議で是正要求も (1/2ページ)

トランプ米大統領と会談する安倍首相=17日、米フロリダ州パームビーチ(AP)
トランプ米大統領と会談する安倍首相=17日、米フロリダ州パームビーチ(AP)【拡大】

 18日まで行われる日米首脳会談では、トランプ米大統領が日本の通貨政策を「円安誘導」と批判するのではとの懸念が拭えない。足元では円高傾向が続くものの、円の総合的な実力を示す「実質実効為替レート」ではむしろ割安感が強まっているためだ。貿易赤字の削減に向け攻勢を強める米国の理解を得られなければ、今後の2国間協議で是正を迫られる恐れがある。

 「円は米国の監視リスト対象国の通貨で最も割安であり、狙われやすい立ち位置にある」。みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストはこう指摘する。

 実質実効為替レートで比較すると円は過去20年の平均より22.5%低く、昨年より割安に振れた。米国が昨年の外国為替報告書で通貨政策の監視対象に指定したドイツ、韓国など5カ国で調整が進まなかったのは日本だけ。実質実効レートは物価変動に左右されるため、諸外国に比べ物価の伸びが鈍い日本は相対的に割安になる。

 18日の円相場は107円台と年初から5円程度の円高水準にあり、名目レートでの円安進行は一服している。ただ、米国は依然として日本の輸出が有利になる円安を警戒する。13日公表の報告書でも一段の円高が望ましいとの見方を示し、監視対象にとどめた。トランプ氏も過去に日本を円安誘導と批判したことがある。

 11月の中間選挙に向け貿易赤字の削減で得点を稼ぎたいトランプ政権は、鉄鋼とアルミニウムに関税を課す輸入制限措置を発動するなど強硬策を連発。最大の標的である中国は報復措置を宣言し、世界貿易機関(WTO)に提訴するなど“通商戦争”に発展した。

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