原子力エンジンで宇宙探査 NASAのテクノロジー復活計画 (1/3ページ)

 火星への人類着陸を目指す競争の中で、米航空宇宙局(NASA)が1970年代に棚上げしたテクノロジーを復活させようとしている。それは原子力ロケットだ。

 NASAは昨年、深宇宙探査用途の熱核推進(NTP)エンジンのための原子炉設計と燃料開発に向けて、BWXTニュークリア・エナジーと1880万ドル(約20億1630万円)の契約を結んだ。熾烈(しれつ)な宇宙開発競争が繰り広げられていた冷戦期から長い年月を経て、米国はこの技術に立ち戻った。そして現在、ロシアと中国もこの技術を追究している。

 70年代に棚上げ

 燃料を燃やして推進力を得る通常のロケットとは異なり、原子力システムは燃料(液体水素など)を原子炉で加熱して膨張させ、ノズルから噴射して宇宙船の動力源とする。これによりロケットの燃料効率が2倍になるため、米パデュー大学航空宇宙工学科のスティーブン・ヘイスター教授によると「ロケットの劇的な小型化」と飛行時間の短縮が実現する。ヘイスター教授は「これは非常に重要なことだ。火星への飛行のように大量の推進剤を必要とする難しいミッションでは特に」と述べた。

 NTPエンジンは世界の原子力産業全体から見ればニッチ(隙間)市場かもしれないが、この技術を持つ企業にとっては非常に魅力的な分野になりうる。米国のように原子力発電業界がここ数十年にわたり低迷してきた国ではなおさらだ。

 BWXTで先進テクノロジープログラムのバイスプレジデントを務めるジョナサン・サータイン氏は「宇宙向けシステムの製造に関してBWXTが持つ能力は、技術開発領域において、ささやかながら極めて重要な位置を占める。この市場の発展は、いかに同システム開発を容易なものとし、宇宙で使う電力・推進力として他のエネルギー源に対する競争力を高めるかにかかっている」と指摘した。

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