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日本産食品の輸入規制、中国が軟化 原発事故から7年、両国政府が近く緩和協議入り

 日中両政府は近く、中国が東京電力福島第1原子力発電所の事故後に続けてきた日本産の農産物や食品に対する輸入規制の緩和に向けた協議に入る。

 原発事故から7年たつが、27カ国・地域が今も放射能物質による汚染の恐れを理由に輸入を制限する。14億人分の胃袋を抱える中国が軟化したことで、来年までに輸出額を1兆円にする政府目標の達成に弾みが付きそうだ。

 斎藤健農林水産相は15日の記者会見で「日本産食品に対する輸入規制の撤廃・緩和は大変重要な課題だ」と述べ、問題解決に向けて強い意欲を示した。

 両政府は9日、中国による日本産の農産物や食品の輸入規制に関する専門家グループを設立することで合意した。

 中国は現在、福島など10都県で生産される全ての食品と飼料の輸入を停止。10都県以外の野菜や果実、茶葉、牛乳やこれらの加工品にも過剰な放射性物質検査証明を求めている。

 それでも中国での日本産食品の人気は根強い。昨年の中国向け食品・農林水産物の輸出額は1007億円と過去最高。厳しい輸入制限を受けながらも、原発事故が起きた2011年の2.8倍まで拡大した。

 規制緩和の流れは今年に入って加速している。ロシアは3月、日本の水産物に課してきた輸入規制をほぼ解除。アラブ首長国連邦も今月、大幅に見直した。

 一方、関係が悪化している国もある。8県の水産物を禁輸する韓国は4月、世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会での敗訴を受けて上訴。世耕弘成経済産業相は8日、韓国の白雲揆(ペク・ウンギュ)産業通商資源相との会談で取り下げを求めたが、韓国側は「国民感情もあって撤廃は難しい」と返答したという。日韓のぎくしゃくした関係が日本産食品の輸出にも影を落としている。(米沢文)

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