【ビジネスアイコラム】気になるインドでの米国不在 中国、北朝鮮優先で手が回らず? (1/2ページ)

 トランプ米政権発足後、インドでの米国の不在ぶりが際立ってきた。トランプ米大統領は「自由で開かれたインド太平洋戦略」に賛同しているものの、成果は乏しい。関心は南アジアへは向いていないように見え、その間隙(かんげき)を突いて外交戦略を軟化させつつある中国の習近平政権がインドへ接近している。

 インドのモディ首相は先月下旬、中国の武漢を訪問し、習近平国家主席と会談した。現地からの報道によれば、習氏は「大きな発展途上国である両国は世界の多極化の担い手だ」と述べ、モディ氏は「国際関係の民主化を支持する。中国とともに発展途上国の利益を拡大させたい」と応じた。

 米国が保護主義色を強める中で、新興5カ国(BRICS)や上海協力機構(SCO)で協力する中印両国が連携を強めた形だ。昨年8月末まで2カ月以上続いた両国軍のにらみ合いからの緊張緩和も図られた。

 これまでインドと米国は「最大の民主主義国」と「最古の民主主義国」の友好をうたい、民主主義という価値観を共有するという信念、さらに最大の人口を持つ中国は民主主義国ではないとの皮肉を込めたメッセージを発信してきた。インドは今回、「発展途上国」という共通項を強調したのだ。

 昨年、私はインドで当局者や識者のトランプ米政権への不満や懸念をよく耳にした。駐インド米大使は米国の政権交代を機に昨年1月に帰国し、インドが中国の軍事的圧力を受けていた夏ごろは米大使不在が続いた。ある当局者は「米国からは何の温かい言葉もないし、そもそも大使すらいない」とこぼしていた。新大使が着任したのは、トランプ氏の長女のイバンカ大統領補佐官が訪印する直前の11月だった。

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