社会保障費の抑制目安、新財政健全化計画で具体的な数値盛らず 政府が検討

 政府が6月にまとめる新たな財政健全化計画で、平成31~33年度の3年間の社会保障費の伸びを抑える目安について、具体的な数値を盛り込まない案を検討していることが16日、分かった。従来の計画は28~30年度に関し、3年間で1兆000億程度に抑えるとしていた。

 32、33年度は終戦直後に生まれた人口が少ない世代が75歳以上の後期高齢者になる時期で、一時的に社会保障費の伸びが抑えられる。しかし、34年度以降は団塊の世代が後期高齢者となり、急激に社会保障費が増える。このため、社会保障費の増加の変動が激しく、具体的な数値で目安を設けることが難しいとの考えが政府内に浮上した。

 一方、計画では社会保障費の伸びを高齢化などの影響で避けられない範囲に抑える方針は打ち出す。政府・与党内には数値を盛り込むべきだとの声も根強く、調整を進める。

 政府内では当初、31~33年度の社会保障費の伸びについては28~30年度並みに1兆5000億円、年間5000億円程度に抑えるべきだとの案が出ていた。これに対し、32、33年度は社会保障費の増加幅が小さく、さらに圧縮できるとの意見もあり、協議を続けてきた。