トタル、イランのガス田撤退 米制裁再開発表受け仏政府と協議

仏南部の都市ロデーズ近郊にあるトタルのガソリンスタンド。同社はイランの天然ガス田の開発プロジェクトからの撤退を検討している(ブルームバーグ)
仏南部の都市ロデーズ近郊にあるトタルのガソリンスタンド。同社はイランの天然ガス田の開発プロジェクトからの撤退を検討している(ブルームバーグ)【拡大】

 仏石油大手トタルは16日、イランの天然ガス田の開発プロジェクトからの撤退を検討していると表明した。先週、米国がイラン制裁を再開すると発表したことを受け、先手を打った。同社に続き、イランと取引を行う欧州企業が同様の措置を取る可能性がありそうだ。

 トタルは「米国で大規模な事業を展開し、米国の銀行を通じて取引を行うわが社にとって、イランとビジネスを継続するリスクは高すぎる」とし、「プロジェクトの撤退の可能性について、フランスと米国の当局と協議している」と説明した。

 トタルによると、同社の財務活動において米銀が占める割合は90%以上であり、同社の株主の30%が米国に帰属しているという。また、米国内に同社が保有する資本は100億ドル(約1兆1030億円)を超えており、米国からの制裁対象となった場合同社の被害は甚大なものとなる。

 トタルと中国最大の石油・ガス会社、中国石油天然ガス集団(CNPC)は昨年7月、イランのサウスパースガス田の開発プロジェクト「フェーズ11(SP11)」で、イラン国営石油会社(NIOC)と20年の契約を締結していた。

 しかし、トランプ米大統領は先週、イラン核合意からの離脱とともにイラン制裁を再開する意向を発表。米財務省は、制裁再開までの移行期間として最長180日を設け、この期間中にイランとの取引を終了するよう企業に警告した。

 米投資銀行ジェフリーズのロンドン在勤のアナリスト、ジェイソン・ギャメル氏は「イラン制裁が再開された場合、企業が米国の制裁対象となるリスクの大きさは、イランとの取引を継続することで得られる利益に見合わない」と指摘する。また、「石油会社は(石油や天然ガス開発などの)上流部門への投資ができなくなり、イランの原油のトレーダーや買い手は他の供給源を探すか、米政府に制裁の対象から除外するよう交渉することを余儀なくされるだろう」と見ている。

 NIOCの業務執行取締役アリ・カルドル氏は今月、トタルが「SP11」プロジェクトから撤退した場合、同社が取得していたサウスパースガス田の事業権益がCNPCに譲渡される可能性があると指摘した。トタルは、同プロジェクトへのこれまでの投資額は、4000万ユーロ(約52億円)未満としている。(ブルームバーグ Francois debeaupuy、Hashem Kalantari)