債券市場、混乱はまだ続く 豪運用大手「賃上げ過小評価がリスク」

 先進国でインフレ加速と同時に前例なき金融刺激策の巻き戻しが続いていることは、債券市場に今後多くの苦痛が待ち受けていることを意味する。オーストラリアの年金運用大手の一角がこう指摘した。

 ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)のウェルスマネジメント部門MLCで最高投資責任者(CIO)を務めるジョナサン・アーミテージ氏は「今後のインフレリスクと、債券が評価され続けている水準にずれがあることは疑いない。債券市場はかなりシフトしたが、その移行は一部にとどまっている」と分析した。

 MLCはいわゆるリアルリターンファンド(約55億豪ドル=約4500億円)で国債の保有をゼロに引き下げた。また、より不安定な相場環境に備えて株式のポジションを縮小した。

 アーミテージ氏によると、最大のリスクの一つは債券投資家が賃金上昇の意味合いを過小評価していることだという。同氏は「債券市場は賃金の持続的上昇を予想していない。特に米国でだ」と述べ、「その確率は極めて低いと市場はまだ考えているようだが、データでさらなる証拠を目にしつつある。より多くの企業が幅広い事業で賃上げについて議論している」と指摘した。

 同氏は米10年債利回りが年内に3.7%まで上昇する可能性があると予想。インフレ連動債と銀行債を有望視していると付け加えた。(ブルームバーグ Adam Haigh)