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ルールメイキングで主導権をもつには 欧州発GDPRのインパクトから考える (2/3ページ)

安西洋之

 ルールメイキングは新しい市場を作るにあたり、リードする立場を如何に確保するかとの文脈で語られる。が、これはルールのスペック競争ではない。ルールに「これまで」と「これから」の正当性が存在するか、との議論の勝負である。

 前述の藤井さんは、以下のように書いている。

 “グローバル競争の本質は、価格や品質の競争の地理的範囲が広がったことにあるのではない。異質なプレイヤーとの思考方法や世界観の競争なのだ。今、日本のビジネスパーソンが世界で戦うために必要なこと、それは英語や会計知識にも増して、競争範囲の思考方法を理解すること、みずからの世界観を持つことである”

 ルールメイキングで主導権をもつためには、政策を打ち立てる人たちとリアルに話し合える機会をもたないといけない。相手の思考方法・世界観を掴み、自分のそれらを理解してもらうために、EUの本部があるベルギーのブリュッセルにロビイストが多数集まるのは極めて自然なことだ。 

 2カ月ほど前「カマンベールチーズをめぐる産地保護の葛藤」とのコラムを書いた。スローフード財団が産地保護のために、政府やEUの定める制度とは異なる私的制度を世界各地に広めているが、彼らもブリュッセルに3人の駐在員をおいている。

 国際政治や食科学を修士以上のレベルで学んだ専門性をもち、4~5か国語の心得のある人たちが、政策決定プロセスへの監視と丁々発止のロビー活動を行っているわけだ。これによってイタリア・ピエモンテ州の小さな町の小さなビルに本部をおく団体も、欧州レベルでの影響力を示すことができる。しかもEUのルールが世界各国の規制のモデルになっている。

 必要なのは大きな本社ビルではない。

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