アメリカ、北朝鮮への大規模な追加制裁を見送り 首脳会談再設定への協議の行方見守る

トランプ米大統領(ゲッティ=共同)、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(朝鮮通信=共同)
トランプ米大統領(ゲッティ=共同)、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(朝鮮通信=共同)【拡大】

 【ワシントン=黒瀬悦成】米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は28日、トランプ政権が29日にも発表を予定していた北朝鮮に対する新たな大規模制裁を見送ったと報じた。米朝首脳会談の再設定に向けた実務者協議の行方を見守るためとしている。

 同紙が複数の米政府当局者の話として伝えたところでは、制裁措置はトランプ氏が24日、北朝鮮が米国に対して攻撃的な言辞を強めたのを理由に首脳会談の中止を表明したのを受け、財務省が策定。ロシアや中国を含む30以上の団体が対象となっていた。

 ホワイトハウス高官は24日、首脳会談の中止を受けて記者団に「北朝鮮に対し最大限の圧力をかけきったとはいえない」と指摘し、北朝鮮に対して追加制裁を科す方針を明かしていた。

 米朝は南北の軍事境界線にある板門店の北朝鮮側施設で27日から実務者協議を開き、6月12日のシンガポールでの首脳会談の再設定を視野に議題の詳細などを詰めている。

 板門店での協議は29日までを予定しているが、同紙によれば延長もあり得るとされ、協議では米国が求める短期間での「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」に北朝鮮が引き続き態度を明確にしていない可能性がある。