【高論卓説】信用不安が広がるドイツ銀行 共存の大株主・中国企業も経営危機 (2/2ページ)

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 ドイツ銀は欧州ソブリンショック後の資本増強を「CoCo債」という一種の転換社債で行った。この債券は経営が健全な際は、一般の債券よりも高い金利が得られるが、自己資本が危機的状況になった場合、自動的に株式に転換される社債である。つまり、借金が自己資本に変わるという非常に便利な債券であるが、これにも大きな問題がある。それは転換されることによって株式が希薄化し、株価暴落の要因になることだ。

 16年、ドイツ銀はこの問題に大きく揺れた。この問題に関しては、積極的な資産の売却などにより何とかごまかすことができたが、本質的な収益の改善には程遠く、赤字決算が続く中で、今回の危機が起きた。

 また、この問題の背景には中国との問題も絡んでいる。実はドイツ銀の筆頭株主は中国の海航集団であり、海航集団も経営危機に陥っており大規模な業務再編の最中にある。つまり、共依存の関係にあるともいえるのだ。どちらかが破綻すればそれが連鎖する可能性もある。ドイツ銀は排ガス問題を抱えるフォルクスワーゲン(VW)グループと世界最大の自動車部品、素材メーカーであるボッシュのメインバンクであり、このどちらもが中国が最大の顧客なのである。つまり、中国の製造業の要の一つでもあるのだ。

 そして、ドイツ政府としては、自国の産業基盤の破壊ともいえるドイツ銀の破綻を許すわけにもいかず、非常時には国有化を含む資本注入を含めた対応を行うものと思われる。トランプ米大統領はこれをドイツと中国との貿易戦争の交渉カードに利用する可能性もある。

【プロフィル】渡辺哲也

 わたなべ・てつや 経済評論家。日大法卒。貿易会社に勤務した後、独立。複数の企業運営などに携わる。著書は『突き破る日本経済』など多数。48歳。愛知県出身。