玩具3大メーカー苦境続く モバイル投資不十分、飽和市場に偏重

 大手玩具メーカーが問題を抱えている。その始まりはトイザラスが倒れるずっと前に遡(さかのぼ)る。重要な書き入れ時だった2017年の年末商戦期、世界の3大玩具メーカーであるレゴ、ハズブロ、マテルの売上高は低調だった。18年の見通しもそれほど明るくない。

 かつては映画とタイアップしたおもちゃは確実に人気が見込めたものだが、今の子供たちはレゴの「バットマン」やハズブロの「スターウォーズ」関連グッズに飽きつつある。そしてマテルの「バービー」や「アメリカンガール」といった由緒あるブランドも、古さを感じさせ始めている。

 ◆未熟なSNS活用

 「LOLサプライズ」人形や、プラスチックの卵から産まれる小さな縫いぐるみ「ハッチマル」のミニチュア版など、10ドル(約1100円)未満で手に入る商品にシフトする消費者も多い。そしてユーロモニターによると、大手玩具メーカーは、1870億ドル規模の世界の玩具・ゲーム市場の20%を占める、急成長中のモバイルゲーム分野に十分に投資していない。

 業界の観測筋によると、より多くの成長機会が存在するアジア、中南米、中東市場にいっそう力を入れるべき時期であるにもかかわらず、大手3社が重視するのは飽和状態の北米・欧州市場が中心だ。そして、小規模なライバル企業が市場シェア獲得に生かしているユーチューブやインスタグラムなどSNSの使い方も未熟だ。

 独立系玩具コンサルティング企業クロスターズ・トレーディング(バーモント州)のルッツ・ムラー社長は「この状況は自業自得だ。子供たちがのめり込んでいるのはスマートフォンやSNSだ。抜け目のないマーケティング担当者は、これらを商品の宣伝に活用している」と述べた。

 レゴは17年に8%の人員削減を実施。同年の売上高は13年ぶりに減少した。ハズブロの17年通年の売上高は3.8%増だったものの、10~12月期は2%減だった。マテルは17年10~12月期の売上高が12%減となるなど、4年連続で売り上げを落とし、世界1位から3位に転落した。

 3月15日には、トイザラスが米国と英国の全店舗を閉鎖すると発表。ブルームバーグ・インテリジェンスの推計によると、この影響でマテルの18年の売上高が最大10%、ハズブロは同5%落ち込む可能性がある。

 もっとも他の大型小売店がこの穴を埋めることは可能だ。実際、米国で最も多くの玩具を販売しているのはウォルマートである。

 しかしブルームバーグ・インテリジェンスのアナリストのマリアム・シェザード氏によると、玩具専門ではない小売店は玩具の販売スペースが比較的狭いため、人気商品を厳選して「リスクの低い商品を置く」傾向がある。

 ◆派生ブランド危機

 この結果、派生的なブランドや商品のイノベーションが危機にさらされる可能性がある。ハズブロは「ベビーアライブ」や戦争ゲームの「バトルシップ」など60以上のブランドを保有しており、マテルは業績回復努力の一環として新製品の発売を計画中だ。しかしシェザード氏は「今は自制せざるを得ないかもしれない」と指摘する。

 安価な玩具へのシフトも悩みの種だ。10ドル以下のカテゴリーの売上高の成長率は玩具市場全体を上回る。ハッチマルを製造するスピンマスター(カナダ)の売上高の伸び率は、ハズブロやマテルを圧倒する。スピンマスターのマーケティング戦略の中心はソーシャルメディアだ。同社は16年のハッチマル発売に先立って、ユーチューブ動画やその他のネット投稿で中身の分からないプラスチックの卵を宣伝し、期待感を盛り上げることに成功した。

 NPDグループのグローバル玩具業界アナリストのフレデリク・トゥット氏は、大手玩具メーカーはトレンド察知とSNS活用のスキルを上げるべきだと指摘した。

 玩具メーカーの苦境の原因としてモバイルゲームが挙げられることは多いが、その根拠は乏しい。非営利組織コモン・センス・メディアの17年の調査によると、8歳以下の子供のスマートフォン・タブレット使用時間は、11年の5分から49分に増加。しかし同調査によると、この増加分はテレビ視聴時間の減少分でほぼ相殺され、子供たちが従来のおもちゃで遊ぶ時間が減ったわけではない。

 ユーロモニターの玩具・ゲーム分野のアナリスト、マット・ハダック氏は、今後も従来型の玩具が市場で重要な位置を占めることに変わりはないと見る。「晩婚のミレニアル世代が親になる。彼らは教育的な玩具に関心を持つかもしれない。あるいは単純に、スターウォーズを子供と一緒に楽しみたいと思うかもしれない」と指摘した。(ブルームバーグ Carol Matlack)