米利上げ、新興国の資金流出懸念 金融政策正常化で世界経済に不透明感

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 13日(現地時間)の米連邦公開市場委員会(FOMC)で2018年の利上げ回数が引き上げられたことで、米国の長期金利が今後上振れれば、新興国に流れ込んでいた投資マネーの米国への回帰が進む見通しだ。米国発の貿易摩擦が激しさを増し、世界の貿易取引への悪影響なども懸念される中、米欧の金融政策が正常化に向かうことによって世界経済の不透明感が強まる恐れがある。

 米長期金利の指標となる10年債の利回りは13日に一時3.01%まで上昇したが、前日終値と同じ2.96%で取引を終えた。「利上げは織り込み済みで反応は鈍かったが、まだ上昇余地はある」と明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは指摘する。

 米長期金利が上昇すれば、金融政策で長期金利を0%程度に押さえ込んでいる日本との金利差が拡大して円安ドル高が進み、国内の輸出産業の業績や株価の追い風になりそうだ。

 だが、新興国からの米国への資金流出が進みやすくなるリスクを伴う。4月下旬に米長期金利が3%台をつけた際には、アルゼンチンで通貨が急落。政策金利の大幅な引き上げなどの防衛策を迫られ、国内経済が減速する悪循環に陥った。

 アルゼンチン同様、経常赤字や対外債務の大きいトルコやブラジル、メキシコなども資金流出に伴う通貨安懸念がくすぶる。「可能性は低いが、米長期金利の上昇が加速するようだと、新興国の通貨安圧力が強まり、経済減速が波及する」と三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは語る。

 一方、欧州中央銀行(ECB)の14日(同)の理事会では9月に期限を迎える量的緩和見直しについて大枠が示される見通し。年内に終了となる公算が大きいが、財政懸念のあるイタリアではECBの国債買い支えがなくなれば、金利上昇が意識され、市場の動揺が収まりにくくなる懸念が残る。こうした新興国や南欧の混乱が世界的な貿易取引の縮小につながれば、日本経済への影響も避けられない。トランプ米政権発の貿易摩擦が、リスクに拍車をかける可能性も高い。(万福博之)