中国の資本フローに変化か 経常黒字縮小で新興国市場にリスク

中国・上海の洋山深水港にあるコンテナターミナル(AP)
中国・上海の洋山深水港にあるコンテナターミナル(AP)【拡大】

 批判が集中している中国の貿易黒字が縮小しつつある。世界の資本市場に回る中国の貯蓄超過も少なくなりそうだ。

 米金利上昇への対応に既に苦しむ新興国にとって、この見通しは新たな脅威となる。10年にわたる過剰な借り入れの後始末に新興国市場が追われ始める中で、中国による買い入れ能力が長期的に下がっていくことになれば、世界的に利回り上昇圧力がかかるかもしれない。

 ◆ドル建て資金で負担

 米連邦準備制度のバランスシートが縮小し、利上げも進む中、指標となる10年物米国債利回りは5月、2011年以来の高水準に達した。ドル建てで多額の資金を借りていた国々には大きな負担となる。トルコ中央銀行は通貨の下支えを狙って緊急利上げを迫られ、アルゼンチンは国際通貨基金(IMF)に支援を求めた。ここ数週間は利回りが低下したが、需給動向が変われば急上昇することが分かるかもしれない。

 HSBCホールディングスのアジア経済調査共同責任者、フレデリック・ニューマン氏(香港在勤)は「中国が強大かつ貪欲な銀行であり続ける可能性はあるが、貯蓄バッファーは細りつつある。世界の金利への影響に気付くか、これについてじっくり考える向きはほとんどない」と指摘。そのリスクは中国が蛇口を閉めれば、どこであれ資本コストが上昇し始めるという点であるに違いないと話す。

 ◆米批判で輸入後押し

 IMFのデータによれば、中国の経常黒字は国内総生産(GDP)比2%弱と10年前の9%超から縮小。今年1~3月期(第1四半期)は珍しく経常赤字に陥った。IMFは23年までに中国の経常黒字が1320億ドル(約14兆3600億円)にとどまると予想している。

 経常収支の黒字分は資本勘定を通じて債券などの資産に回ることが多く、投資家にとって中国の経常収支動向は重要だ。経常黒字が縮小すれば、世界の市場に向かう資金も少なくなる。

 これは中国による国内消費の底上げと輸出依存低減の取り組み、中国人観光客の海外旅行増加を主因とするサービス収支の赤字拡大の結果だ。また、トランプ米大統領は中国の貿易が公平でないと批判しており、中国政府は輸入を後押ししている。この意味合いは、経常黒字の積み上げで世界最大の純債権国になった日本とは異なる道を中国が歩むことになりそうな点だ。日本の財務省が公表したデータによると、中国は昨年、債権国としてドイツに後れを取った。(ブルームバーグ Enda Curran、Christopher Anstey)