政府、韓国の反ダンピング関税でWTOに提訴手続き ステンレス製品に高関税

 政府は18日、韓国による日本製ステンレス棒鋼の反ダンピング(不当廉売)関税が不当として、世界貿易機関(WTO)に提訴する手続きを始めたと発表した。まずは2国間で60日間の協議を行う。協議で解決されない場合は裁判の一審にあたる紛争処理小委員会(パネル)の設置をWTOに求め、審理される。日韓による紛争解決手続きは今回で3件目となる。

 政府は韓国当局が韓国製品との競争状況を適切に把握していないと分析。経済産業省の幹部は「反ダンピング関税を安易に延長することを許さない」と説明した。各国が同様の関税措置を多用していることも問題視しており、今回の提訴手続きに踏み切った。

 韓国は2004年7月から約14年間、日本製のステンレス棒鋼に約15%の高関税を課している。韓国は過去3回、措置を延長し、昨年6月には3年間の延長を決めた。追加関税による日本側の影響はこれまで約48・7億円に達し、3年間の延長でさらに約12・8億円の影響を受けるという。

 ステンレス棒鋼は耐食性や耐熱性などに優れ、ボルトやナットなどに加工される。昨年の日本の韓国向け輸出は6780トンと全体の約14%を占める。

 日本が韓国の措置でWTOに紛争解決手続きを開始するのは水産物などへの輸入規制、空気圧伝送バルブに対する反ダンピング措置に次ぎ3件目。いずれもWTOが是正を勧告したが、韓国側は決定を不服として上級委員会に上訴している。