米輸入制限 対米包囲網じわり 各国が対抗措置


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 発動からまもなく3カ月となるトランプ米政権の鉄鋼・アルミの輸入制限に対し、各国・地域からの対抗措置が相次いでいる。インドは21日、米国製品への報復関税を8月4日から発動することを決定。欧州連合(EU)の欧州委員会も、22日の報復関税発動を発表している。このほかロシアも対抗措置をとると表明しており、対米包囲網が形成されつつある。

 米国は3月23日、米国に輸出される鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を課す輸入制限を発動。当初は適用除外とされたEUやメキシコ、カナダの製品も今月1日に適用が決まった。

 こうした中、輸入制限の対象国となってきたインドは、米国からの輸入品30品目に追加関税を発動することを決めた。インドが事前に世界貿易機関(WTO)に通知したリストによると、対象は豆や金属製品など。米国が反発している二輪車も含まれる。

 また欧州委員会も20日、28億ユーロ(約3600億円)相当の米国からの輸入品に対する報復関税を22日に発動すると発表した。米国産の鉄鋼やアルミのほか、オレンジジュースやウイスキー、二輪車などが対象だ。EUは「われわれの対応は釣り合いのとれたものだ」としており、さらなる品目の追加も視野に入れている。

 一方、ロイター通信によると、ロシアのオレシキン経済発展相も19日、米国からの輸入に報復関税を課す方針を表明。「ロシアが輸入している数多くの品物」が対象品目になるとして、具体例として道路工事に使う機械などを挙げた。

 米国への対抗措置ではこのほか、中国もいち早く米国からの輸入への関税上乗せを実施。米国の孤立感が強まっている。(ニューデリー 森浩、ベルリン 宮下日出男)