【大学発 日本 人と技術】日本を支える研究活動と技術開発

塗装を塗った鋼材でも表面の疲労亀裂を発見できる
塗装を塗った鋼材でも表面の疲労亀裂を発見できる【拡大】

  • 開発中の歩容センサーのプロトタイプ
  • 自動運転車の試乗体験する高校生たち
  • 協定調印後、握手をする大阪電通大の大石利光理事長・学長(左)と野嶋敏一大阪市教育センター所長=大阪府寝屋川市の大阪電通大

 ■橋梁鋼材表面の疲労亀裂 塗装の上から検出する

 ≪東京都市大学≫

 総合研究所の小西拓洋教授ら研究チームは、塗装の上から橋梁の鋼材表面に生じる疲労亀裂を検出できるシステムを開発し、検査時間の大幅な削減と従来法ではできなかった検査結果のデータ化に成功した。金属機械部品の表面の傷を検出する際に使われていた渦流探傷試験用の装置に、信号記録と画像表示の機能を付加させることで実現した。これにより検査時間は約3分と現行の蛍光磁粉探傷試験の5分の1程度となる。

 疲労亀裂の検出は現在、熟練技術者の経験に裏打ちされたノウハウに頼っているが、今後は経験の浅い技術者でも簡単な操作で、信頼性の高いデータを得ることができるようになり、インフラ構造物が大量に老朽化する時代の技術者不足解消に貢献することが期待されている。

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 ■「スマートシューズ」で活動量の変化検知

 ≪金沢工業大学≫

 同大が研究代表となり応募した「地域高齢者の健康と生活空間の見守りを支援するe-テキスタイル技術を用いた歩容センサークラウドシステムの研究開発」が総務省平成30年度「戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)」重点領域型研究開発ICT重点研究開発分野推進型3年枠に選定された。

 靴の中敷に装着したテキスタイルセンサーを通じて歩行時の特徴を検出するウェアラブルな歩容センサーを開発する。さらに歩容センサーとクラウドシステムを連携させることで高齢者に対する健康支援と、家族や自治体などよる見守り支援機能を持つICTシステムインフラの構築を目指す。

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 ■地元八王子市の中小企業に「出前研究室」

 ≪工学院大学≫

 八王子商工会議所と共同で、教員や学生が八王子市内の中小企業に出向いて講義や技術相談を行う「出前研究室」事業を6月1日から始めた。昨年10月に締結した包括連携協定に基づき、若手人材不足の解消や地域活性化などを目的としている。市内には21の高等教育機関があり、9万5000人を超える学生が学んでいるが、企業の認知度が低いこともあって同市内の企業に就職するのはわずか1%ほど。大学などと共同研究や技術相談を行っている企業もごく一部に限られ、その原因として自社が求める研究室を探し出すことが大変なためとみられている。そこで、各企業と同大とのマッチングを八王子商工会議所が担うことになった。160超の研究室をもつ同大の研究力と最新の教育・研究施設や設備を備えた八王子キャンパスを最大限活用した課題解決を目指す。

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 ■AI時代の人材育成 専門教育課程を来春新設

 ≪埼玉工業大学≫

 AI(人工知能)時代に求められる人材育成に向けて、来年4月に工学部情報システム学科にAI専攻(定員40人)を新設する。幅広く社会に浸透するAIの基礎、応用、実践を学べるカリキュラムが特徴で、AIプログラミング言語・演習、人工知能概論、機械学習、深層学習(ディープラーニング)、自動運転概論などの科目を設置する予定。カリキュラムの整備にあたり、高等教育機関として初めて日本ディープラーニング協会と連携し、同協会のG検定、E資格の取得を支援する計画だ。

 6月10日に開催されたオープンキャンパスでは、AI専攻に注目する高校生と父母が多数参加。同学科のガイダンスの会場は、満員で立ち見が出るほどの関心の高さを示したという。AI技術を応用した自動運転車のデモには、大勢の高校生が試乗体験した。

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 ■プログラミング教育で連携 大阪市教育委員会と協定

 ≪大阪電気通信大学≫

 大阪市教育委員会と、初等中等教育のプログラミング教育を推進する目的で連携協定を結んだ。次代を担う子供たちの未来を応援するため、両者の持つ人的・物的・知的資源を使い、超スマート社会(Society5.0)の到来に備えた人材育成を目指す。同大は、これまで培ってきたノウハウをベースに全国の初等中等教育のプログラミング教育をサポートするため、新たに「ICT社会教育センター」を設立。地元の大阪府寝屋川市、同四條畷市をはじめ、茨城県教育委員会とも連携協定を締結している。

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 ■骨髄以外で起こる緊急造血 細胞や分子メカニズム解明

 ≪東京理科大学≫

 生命医科学研究所の後飯塚僚教授、小田朗永プロジェクト研究員らの研究グループは、貧血や感染症の際に骨髄以外の組織で起こる緊急造血に関与する細胞や分子メカニズムを解明した。今回の制御機構の解明によって、緊急時に骨髄での造血因子の産生が抑制されるのに対し、脾臓では逆に上昇するなど、造血に関わる環境の共通性や特殊性を比較することが可能になった。このことは、造血幹細胞の維持や機能に関わる環境構成要素の共通原理の解明や移植法の開発に貢献できるとしている。研究成果はサイエンティフィックリポーツ誌に5月29日付で掲載された。

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【ガイド】

 工学院大学    E-mail:gakuen_koho@sc.kogakuin.ac.jp

 芝浦工業大学   E-mail:koho@ow.shibaura-it.ac.jp

 千葉工業大学   E-mail:cit@it-chiba.ac.jp

 東京電機大学   E-mail:keiei@jim.dendai.ac.jp

 東京理科大学   E-mail:koho@admin.tus.ac.jp

 東京都市大学   E-mail:toshidai-pr@tcu.ac.jp

 大阪工業大学   E-mail:kikakuka@ofc.oit.ac.jp

 大阪電気通信大学 E-mail:kouhou@mc2.osakac.ac.jp

 金沢工業大学   E-mail:koho@kanazawa-it.ac.jp

 豊田工業大学   E-mail:s-koho@toyota-ti.ac.jp

 広島工業大学   E-mail:kouhou@it-hiroshima.ac.jp

 愛知工業大学   E-mail:d-koho@aitech.ac.jp

 埼玉工業大学   E-mail:kikaku@sit.ac.jp