サンマ漁獲量交渉で決裂 資源管理会合 上限提案に中国反対

銚子漁港に初水揚げされるサンマ=平成29年10月6日、千葉県銚子市
銚子漁港に初水揚げされるサンマ=平成29年10月6日、千葉県銚子市【拡大】

  • サンマの回遊ルートと主な漁場
  • 主な国・地域のサンマ漁獲量

 日本や中国、台湾など8カ国・地域が北太平洋のサンマの資源管理について話し合う北太平洋漁業委員会(NPFC)の年次会合が5日、閉幕した。サンマの漁獲量に上限を設ける日本の提案に対し、中国とバヌアツが反対し、交渉は決裂した。一方、公海での違法漁業対策では一致した。

 日本は昨年、国・地域別の数量上限の導入を上限値も含めて提案したが、賛成したのは台湾だけだった。今年は排他的経済水域(EEZ)での漁獲分を除いた上で国・地域別の漁獲枠を決めるよう提案。ロシアなど5カ国・地域が賛成に回ったが、サンマの資源量減少自体に疑念を抱く中国の反対で合意できなかった。

 一方、会合では違法漁船に対する乗船検査のほか、洋上での小型のサンマの投棄の禁止も決まった。また、来年4月の科学委員会で資源評価結果を一致させることも決まり、次回年次会合で国・地域別の漁獲枠の導入が決まる可能性も出てきた。水産庁の神谷崇資源管理部長は「日本へのサンマの回遊を回復させる最終目標に向け、乗り越えるべきことはまだ多い」と語った。

 北太平洋漁業委員会(NPFC) 北太平洋公海のサンマやサバ類を管理・保護するため2015年7月に設立された国際機関。日本と中国、台湾、韓国、米国、カナダ、ロシア、バヌアツの8カ国・地域が加盟する。このうちサンマが取れるEEZがあるのは日本とロシアの2カ国。