ICO宣伝で怪しげな報奨 仮想通貨のネット広告禁止受け活発

ポール・アンガス氏がユーチューブに投稿した動画(同氏提供)
ポール・アンガス氏がユーチューブに投稿した動画(同氏提供)【拡大】

 ポール・アンガスさんは昼間はエンジニアだが、夜には8000人超のチャンネル登録者を抱える「クリプトノマトロン」として、新規仮想通貨公開(ICO)の最新動向をユーチューブに投稿する。ほとんど趣味でやっていることだが、時には報酬を得る。支払われるのは仮想通貨だ。

 これは、ソーシャルメディアで影響力のある人物がICOを宣伝し、公開を奨励する人物(時には詐欺師)から報酬を得るという怪しげな「バウンティー(報奨金)キャンペーン」が活発に行われているためだ。

 こうした活動は今に始まったことではない。仮想通貨業界の著名人であるジョン・マカフィー氏は3月、ツイート1件当たり10万5000ドル(約1180万円)を請求すると述べており、以前から報酬を受け取りながら宣伝している。

 しかし、こうした宣伝がICOのマーケティングでこれまでになく大きな役割を担いつつある。グーグルやフェイスブック、ツイッターなどインターネットの主要企業が今年、仮想通貨に関する広告禁止に動いたためだ。

 広告禁止に加え、今年に入ってからのビットコインの57%下落にもかかわらずICOが過去最高のペースで資金を調達しているのは報奨金キャンペーンの普及が一因だ。このキャンペーンの支持派は低コストでブランドを構築できると指摘し、反対派は誇大広告と偽情報の温床になっていると主張する。ICOが証券と見なされる法域では、「バウンティー・ハンター」と呼ばれるプロモーターが未登録のブローカーディーラーの役割を果たすことで規制に違反する恐れがある。

 オートノマス・リサーチ(ロンドン)のフィンテック戦略グローバルディレクター、レックス・ソコリン氏は「金銭面の結果が取引だけではなくソーシャルメディアを通じた認識の醸成によって操作できることがいったん明確になれば、当局はかなりの強硬姿勢を取るだろう」と指摘した。(ブルームバーグ Justina Lee)