「将来人口8割減・子供ゼロ」の衝撃予測 奈良の過疎村、活気維持へあの手この手 (1/4ページ)

村民の買い物の助けとなっている、かわかみらいふの移動スーパー=奈良県川上村
村民の買い物の助けとなっている、かわかみらいふの移動スーパー=奈良県川上村【拡大】

  • 2年前に村に帰ってきた亀井孝行さん=奈良県川上村
  • 小学生の授業の様子。教諭とマンツーマンだ=奈良県上北山村

 深刻な過疎化にあえぐ奈良県中南部の山間部。川上村は全国ワーストの人口減少率が見込まれ、上北山村は「2045年に14歳以下の人口がゼロになる」という予測を突きつけられている。若者の都市部への流出は避けられないにせよ、それを「緩やかな減少」に留め、地域の活力を維持するにはどんな知恵が必要なのか。両村の取り組みから、人口減少時代を生きるヒントを探る。(田中佐和、藤木祥平)

 川上村ではおなじみの民謡「川上小唄」をスピーカーで流しながら山道を上る1台の小さなトラック。開けた場所に停車すると、財布を手にした村民が次々に集まってきた。一般社団法人「かわかみらいふ」の移動スーパーの到着だ。

 野菜や魚、総菜に菓子。車にぎっしり積まれた約500品目の商品は、毎朝6時に運転手の嶋谷元(はじめ)さん(43)らが同県大淀町のスーパーで選び、積み込んだものだ。村にはスーパーやコンビニがなく、週に1回、家の近くに止まる移動スーパーが“買い物難民”の高齢者を支えている。

 「これ重いよ。玄関まで持って行っとくわ」。会計を終えた岩本利子さん(81)の買い物袋を嶋谷さんがひょいと持ち上げ、階段を駆け上がっていった。嶋谷さんは2年前に愛媛県から家族で移住し、この販売車で毎日村内を回っている。「あの子、ええ子やろ。いつも助かってるんよ」。岩本さんはそう言ってほほえむと、ゆっくりとした足取りで帰っていった。

 地元企業とマッチング

 今年3月、厚労省の国立社会保障・人口問題研究所が発表した「地域別将来推計人口」によると、2045年までの人口減少率上位10位の半数を県内の村が占めた。ここで、「全国ワースト1」と位置づけられたのが川上村だ。昭和30年の約8千人をピークに平成27年には約1300人にまで落ち込んだ人口が、さらに今後30年で8割減少するという予測だった。だが、栗山忠昭村長(67)は「『このままだったら』という数字であって、そうならないための対策を進めている」と強調する。

移住・定住プロジェクト「川上ing作戦」