「将来人口8割減・子供ゼロ」の衝撃予測 奈良の過疎村、活気維持へあの手この手 (4/4ページ)

村民の買い物の助けとなっている、かわかみらいふの移動スーパー=奈良県川上村
村民の買い物の助けとなっている、かわかみらいふの移動スーパー=奈良県川上村【拡大】

  • 2年前に村に帰ってきた亀井孝行さん=奈良県川上村
  • 小学生の授業の様子。教諭とマンツーマンだ=奈良県上北山村

 そこには村ならではの事情が絡む。通える距離に高校がなく、高校生は村外で寮や下宿生活を送る必要がある。高校1年の次男を持つ田垣内(たがいと)ゆかりさん(51)は「村外で下宿しているので生活費が二重にかかる。支援金は本当に助かります」と話した。

 ネットで合同授業

 教育面でも変革が起きている。テレビ会議システムを使った、他村の生徒との合同授業だ。距離が離れていても切磋琢磨(せっさたくま)できる同級生とつながり、同じレベルの教育を受けられる。同校の教諭は「インターネットを使って遠隔で授業ができる時代。都市部と山間部の教育の差は縮まってきている」と感じている。山室潔村長(66)も「都会の学校と遜色ない教育をアピールできるようになれば、子育て世代も納得してくれる。そのためには村単独ではなく、自治体間の連携や工夫が必要だ」と力を込めた。

 ただ、同級生がいない環境に抵抗を感じる保護者は少なくない。小学2年の長男を持つ金岩久美さん(37)は「息子は5年ぶりの新入生で、入学翌年には学校で(小学生が)1人になる。それが子供にとっていいのか悩んだ」という。だが、転校生も加わり、生き生きと学校に通っている長男を見ると、不安は薄らいでいく。「先生も学校も友人や家族のよう。村のみんなが宝のように育ててくれる」

 都市部では待機児童が問題となり、教諭の目の届かないところでのいじめが後を絶たない。必ずしも都会に住む必要がない人に、人生の選択肢として地方が発信できる価値、それは都会にない子育てや教育の形だ。村は「過疎地だからこそ、おもいきってできること」を模索し続ける。