【サウジの変革】(上)趣味・娯楽そして運転…「カネで買えない自由」広がる (1/3ページ)

サウジアラビアのジッダ市街で、キャデラックに乗るラナさん(佐藤貴生撮影)
サウジアラビアのジッダ市街で、キャデラックに乗るラナさん(佐藤貴生撮影)【拡大】

 湿った熱風が和らいだ夕暮れのサウジアラビア西部ジッダ。紅海に面する繁華街に主婦のラナさん(38)が運転するキャデラックの4WDが姿をみせた。

「車の運転が解禁された6月24日未明、急用ができて空港まで運転したの。道ですれ違った運転手や通行人はみな、祝福してくれたわ」。ラナさんはそう話すと、マクドナルドのドライブスルーでハンバーガーを注文した。米国の運転免許を持っており、切り替えを申請したサウジの免許が近く手に入る予定だ。車は夫のものだという。

 「写真を撮りたい」と話すと、助手席に座るラナさんの母親は「アバヤ」と呼ばれる黒ずくめの服で素顔を覆った。イスラム教の二大聖地メッカとメディナを擁するサウジ政府は、聖典コーランの教えを厳格に解釈するワッハーブ派に基盤を置く。女性は神聖で守られるべき存在で、公の場でみだりに肌を出してはならない-との教えが現実の生活に適用されてきた。

 そんなサウジの社会に大きな変化が起きている。昨年6月下旬、副皇太子から皇太子に昇格したムハンマド・ビン・サルマン王子(32)が、原油輸出に依存した体質から脱却すべく大規模な社会・経済改革「ビジョン2030」を打ち出したからだ。世界で唯一、禁じられてきた女性の車の運転解禁もその一環とされる。

すべての人が歓迎しているわけでは…