【中国を読む】景気堅調、企業の資金繰り良好 社債デフォルト増加は「社債市場改革」の結果か (1/3ページ)


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 このところ一部では、中国経済の減速が鮮明になったとの見方がある。社債のデフォルト増加が金融危機の予兆であるという見方も台頭している。確かに、中国の実体経済をみると、弱い動きも散見されるようになった。しかし、総じてみれば堅調だ。社債のデフォルト増加は、企業の資金繰り悪化に起因したものではなく、むしろ「暗黙の政府保証」を打ち破ろうとする政府の社債市場改革の前向きな結果である。(日本総合研究所・関辰一)

 弱い動きは3つ

 足元の弱い動きは主に3つの分野に現れている。第1に、耐久消費財である。とくに弱さが目立っているのは自動車である。小型車減税措置が2017年末に完全終了したため、自動車販売に反動減が生じている。加えて、通信機械の販売も低調だ。スマートフォンの普及が一巡したことが主因である。

 第2に、政府の規制強化により、一部の固定資産投資が失速している。昨年から政府が環境規制に本腰を入れたため、鉄鋼メーカーなどの設備投資が減少した。また、ここ数年ブームとなっていたPPP(官民連携)の仕組みを使った地方のインフラ投資に対しても、抑制姿勢を強めている。

 第3に、輸出の減速である。中期的な趨勢(すうせい)でみれば大きく落ち込んでいるわけではないが、昨年の伸びが急ピッチだったため、足元の輸出は増勢がやや鈍化している。

 もっとも、こうした弱めの動きは一部にとどまっており、景気を大きく下押しするほどのマイナス影響は顕在化していない。実際、輸入や工業生産、貨物輸送量は堅調な伸びを保っている。中国の経済統計のなかでは、貿易統計は最も信頼度の高い統計である。輸入の拡大は、中国の内需が堅調に推移していることを裏付けている。

景気を支える前向きな動きが2つ