ローカリゼーションマップ

果敢な挑戦で一歩踏み出した デザインめぐるEUのプロジェクト (3/3ページ)

安西洋之

 どこの国でも、製造業からサービス業まで参加者のプロフィールの幅は総じて広かった。したがって沢山の「点」はできた。 実際、「デザイン後進国」においても、「前回よりも少しレベルを上げたセミナーを実施して欲しい」とのリクエストが多数届いている。点を繋げていくチャンスは得られたのだ。

 ただ、「面」や「立体」にするには予想よりも時間がかかると分かった。それが本プロジェクトの成果の1つである。

 そしてコンシューマー中心デザイン、戦略的デザイン、意味のイノベーションの3つのテーマに対する要望が強いのは、いずれの国でも共通している。

 地方のあまり存在感のない中小企業、それもさほど技術に強くない会社でイノベーションをおこせるように推進していくとのEUのターゲットは、果敢な挑戦であり一歩を踏み出すこと自体に意味があったと思う。

 これから何年も経て「あの2010年代後半のEUのプロジェクトが、その後のデザインやイノベーションの方向を作ったね」と語り草になるかどうかだろう。(安西洋之)

【プロフィル】安西洋之(あんざい ひろゆき)

安西洋之(あんざい ひろゆき)上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『デザインの次に来るもの』『世界の伸びる中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)フェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih

ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。

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