【高論卓説】マレーシア政治を変えた「華人の津波」 腐敗まみれの旧与党体制を洗い流す (1/3ページ)

※画像はイメージです(Getty Images)
※画像はイメージです(Getty Images)【拡大】

 マレーシアの新聞は英字紙も華字紙も政府のコントロールが利いているのであまり面白くなく、正直、イベント告知と天気予報ぐらいしか読むところがなかった。ところが、そんな先入観が今日この頃のマレーシアの新聞ではがっつり覆される。

 汚職の疑いで逮捕されたナジブ元首相やその夫人のぜいたくな生活に関し、一つ何百万リンギットもする高級バッグが大量に彼らの住居から見つかっただの、あれやこれや三面記事的な興味深い情報が飛び出してきて、新聞を読み進めることが楽しくて仕方がない。

 さて、その原因となった今年5月のマレーシア総選挙は、同国の独立後初めての政権交代である。現地訪問で政界やメディア界の人々に話を聞いて回ったところ、人口の4分の1ほどを占める「華人」の投票行動が大きく影響したという見方で、ほぼ一致した。あるマレー人記者はそれを「華人の津波」と評した。

 労働移民として南洋に渡った華人はこの国のマイノリティーだ。ただ、経済力は強い。出遅れたマレー人との格差を埋めるため、同国政府は「ブミプトラ(土地の子政策)」と呼ばれるマレー人優遇政策を40年以上も取り入れてきた。

 しかし、逆にマレー人政官財に癒着ばかりが強まり、悪しき象徴としてナジブ前政権の腐敗ぶりが明らかになるにつれ、華人が「もういい加減にしてくれ」と不満を一票に託した、という構図だ。

続きを読む