西日本豪雨で遠のく客足 観光の復興へ県も奔走、「宿泊クーポン」好評で追加発行も (2/3ページ)

西日本豪雨以降、人通りがまばらになっている「れんがどおり」=広島県呉市
西日本豪雨以降、人通りがまばらになっている「れんがどおり」=広島県呉市【拡大】

 呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)では、予約していた団体客の約8割が来場を取りやめた。市によると、昨年7月の来場者は約7万7千人に上ったが、今年7月は約1万7千人にまで落ち込んだ。市観光振興課は「呉に足を運んでもらえて、地域が元気になるような対策を考えていきたい」と話した。

 被害なくても

 直接的な被害がなかった観光地にも影響が出ている。

 岡山県倉敷市の観光名所・美観地区は難を逃れたが、宿泊予約のキャンセルが相次いだ。地元観光団体によると、豪雨後の1週間で地区に乗り入れた観光バスの台数は前年の約4割にとどまった。一方、地区内の一部のゲストハウスでは、観光目的で予約してもボランティアに参加すれば料金を割引するプランを用意。支援の輪を広げようと知恵を絞っている。

 同県美作(みまさか)市の「湯郷(ゆのごう)温泉」では、7~9月だけで約5千人分のキャンセルが発生。豪雨による宿泊施設などへの大きな被害はなく営業も継続できたが、新規の予約が減り、今夏の客足は猛暑も相まって、例年の半数程度に落ち込むとみられる。

 組合の内海寿志事務局長は「交通網は大丈夫だが、そうした情報が県外のお客さまに届いていない」と話す。

県が需要喚起で「想定を上回る反響」