「K文学」が日本で続々出版 韓流定着、新たな市場注目

韓国書籍を専門とする出版社「クオン」の金承福社長=東京都千代田区
韓国書籍を専門とする出版社「クオン」の金承福社長=東京都千代田区【拡大】

 韓流やK-POPの人気が定着しつつある日本で、邦訳された韓国文学「K文学」の書籍が続々と出版されている。かつては植民地支配や歴史、民主化運動などを扱い、日本人受けしないとされていたが、近年は恋愛や格差社会、生きづらさなどとテーマが多様化。韓国のポップカルチャーに親しんだ人々が読者層と重なり、新たな市場として注目を集めている。

 「皆さんが好きな作品を一つずつ紹介していきましょう」。読書会を定期開催する東京・神田の韓国書籍専門店「チェッコリ」。6月26日は大学生や主婦、会社員ら約20人が集い、英文学賞のブッカー国際賞を受賞した女性作家、韓江さんの小説について語り合った。

 チェッコリのオーナーで、韓国書籍を専門とする出版社「クオン」の金承福社長が会社を設立したのは2007年。「日本で韓国文学は売れない」と相手にされないことが起業のきっかけとなった。約30人の小所帯だが、出版する作品は年々増加、現在は年間50点ほどに。11年に出版した韓江さんの「菜食主義者」の邦訳本は累計発行部数が1万部を超えた。

 これが日本での韓国文学出版の火付け役になったとされ、東京で韓国書籍のブックフェアが開かれたり、日本の出版社が相次いで邦訳を手掛けたりするようになった。

 一方、韓国では日本文学の翻訳作品が国内の作品を上回るほどの人気を博し「輸入超過」状態だ。大韓出版文化協会によると、15年に韓国語で出版された日本文学は01年の4倍を超える1109作。村上春樹さんや東野圭吾さんの本がベストセラーになることも多い。

 ただ日本と同様、韓国の出版業界は深刻な不況にある。韓国出版著作権研究所によると、15年に363億ウォン(約36億円)を記録した韓国書店大手6社の営業利益は17年に138億ウォンに減少した。

 国内市場が頭打ち状態の中、韓国の政府系機関は国外での韓国書籍の翻訳事業に、1作品当たり約500万ウォンの助成金を出す制度を設けるなど国外展開を後押しする。日本の出版市場をどこまで開拓できるのか、熱い視線を注いでいる。(ソウル 共同)