迷う訪日客 災害時対応に難 情報伝達阻む「言葉の壁」 観光立国へ課題 (3/3ページ)

 訪日客が避難情報などを確認できるウェブサイトも開設。市による防災訓練には地元住民や宿泊施設関係者が参加し、交通機関が停止した事態を想定し、寺社の敷地内などに避難させる手順を確認している。

 毎年多くの台風が近づく沖縄県では国際交流・人材育成財団が「サポーター」を養成しており、現在講習を受けた市民ら135人が登録。避難所を回って外国人の被災情報の収集や相談に当たるという。

 財団の根来全功国際交流課長は「言葉が通じなくても、身ぶりを交えて分かりやすく必要な行動を伝えるのが重要」と強調。それでも「大地震や大規模停電があればどうなるか。養成人数はまだまだ足りない」と話す。

 札幌市の担当者は「最悪を想定し、旅行会社や宿泊施設と連携して情報発信できる関係づくりを進めたい」。名古屋外国語大の吉富志津代教授(多文化共生)も「災害発生直後は、行政と宿泊施設などが一緒になって訪日客の所在を把握することが大事」とした上で「誰も排除することなく、言葉が分からない人とのつながりを充実させる、という意識が求められる」と強調する。

 2020年東京五輪・パラリンピックに向け訪日客の増加を見込む中、「言葉の壁」を越え、災害時のスムーズな情報提供をどう実現するか。やるべきことは多い。