足元で円ドル相場は1ドル=111円台の円安に戻し、株価は2万3千円台に上昇した。雇用環境も21年に0・47倍に沈んだ有効求人倍率は29年に1・50倍に改善。景気拡大期間は、来年1月で戦後最長の74カ月間に達する見通しだ。
しかし、景気回復の実感は国民に広く行き渡っていないとの指摘もある。29年の2人以上の1世帯当たりの消費支出は28万3027円で21年(29万1737円)に届かない。実質賃金指数(27年=100)も29年は100・5で、21年(104・3)より低く、賃上げが消費を喚起し物価が上昇する経済の好循環は起きていない。
リーマン・ショック後の経済対策などで21年度以降に新規国債を発行し続け、国・地方の債務残高は1千兆円以上に膨張。高齢化が進み社会保障費が拡大する中、財政悪化にも歯止めがかからない状況だ。