発展の陰にずさん開発 インドのビル倒壊が砕いた庶民の夢 (1/3ページ)

ニューデリー近郊シャーベリ地区で集合住宅ビル2棟が倒壊した現場跡を歩く人=8月7日(共同)
ニューデリー近郊シャーベリ地区で集合住宅ビル2棟が倒壊した現場跡を歩く人=8月7日(共同)【拡大】

 経済発展を遂げるインドでビルの倒壊が相次いでいる。首都ニューデリー郊外で違法建築の集合住宅2棟が7月に倒壊し、男女計9人が死亡した。犠牲者は念願の不動産を手に入れた一家や、収入増を目指し都会に移り住んだ若者たち。急速な変化の陰で、ずさんな開発が、ささやかな庶民の夢を砕いた。

 3日前に入居

 大規模なマンション開発が拡大するニューデリー郊外グレーターノイダに、小規模な集合住宅が増えているシャーベリ地区がある。同地区で7月17日夜、建設中の6階建てと、よく似た完成済みの計2棟が倒壊した。向かいの20代主婦は「ドーンというすごい音がして、あたり一面が粉塵(ふんじん)に覆われた」と振り返る。

 インドメディアによると、犠牲者9人のうち、1歳半の女児を含む4人は3日前に集合住宅に入居したばかりの一家だった。会社員男性=当時(24)=がローンを組んで250万ルピー(約400万円)前後で購入、母親らと生活を始めていた。

 残る5人は建設作業員とみられ、夜は現場で寝泊まりしていたもようだ。うち3人は兄弟と友人で家業の農業よりも多くの収入を求め、グレーターノイダに8年前に移り住んだ。母親のがん治療でできた借金の返済や家計支援のため、実家に仕送りしていた。

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