フィリピン・セブの特産品 歴史を映す手作りギター

フィリピン・マクタン島の「アレグレ・ギター工房」で作業する職人=5月20日(共同)
フィリピン・マクタン島の「アレグレ・ギター工房」で作業する職人=5月20日(共同)【拡大】

 フィリピン屈指のリゾート、中部セブ州のマクタン島は、手作りギターが特産だ。かつて、スペイン人がギター文化を運び入れ、第二次大戦後は駐留米兵の特注で品質が向上した。南国に軽快に響く旋律は、外国の影響を多分に受けたフィリピンの歴史も映している。

 「店の前の道は通称『ギター通り』と呼ばれ、10軒ほどが手作りギターを製造、販売している」。マクタン島のセブ国際空港に近い「ニュー・スーシンズ・ギター」の経営者、イェン・バリエンテさんが教えてくれた。

 祖父母が開いた店を引き継ぐバリエンテさんによると、島のギターの歴史は数百年前に遡(さかのぼ)る。フィリピンを統治していたスペイン人がギターを持ち込み、教会で聖歌の伴奏に使っていた。次第に製作や修理の技術が地元に浸透し、伝統産業になった。

 1960年代にはセブ州に駐留する米兵が増え、次々にギターを特注。新たな買い手の登場で市場は拡大し、マクタン島のギターは注目され、品質向上にもつながった。

 ギター通り沿いにある「アレグレ・ギター工房」では、上半身裸の職人が黙々とやすりで木材を削っていた。地元のマンゴーやマホガニー材のほか、国外からの輸入材も使う。約30人の職人が分業するが、1本の高級ギターを作るのに1カ月かかることもある。

 営業担当のアントニオ・ゴルゴニオさんによると、完成したギターや、併せてつくるウクレレは国内各地に出荷され、国外にも輸出される。最近の売れ筋はココナツの殻で作ったウクレレ、その名も「ココレレ」だ。1500ペソ(約3200円)で観光客も手軽に買える。

 ゴルゴニオさんは「マクタン島のギターにはフィリピンの歴史と誇りが詰まっている」と胸を張った。(マクタン島 共同)