【現場の風】日本貿易振興機構 ベトナム向けサービス業投資拡大


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 □日本貿易振興機構ハノイ事務所長・北川浩伸さん(53)

 --ベトナムは日系企業の進出ラッシュが続く

 「ここ数年6%台の経済成長が続き、昨年の日本からベトナムへの直接投資の件数は過去最大。投資金額も87億1900万ドル(認可ベース)と世界トップだ。進出企業数も増え、今年2月、ベトナムの3つの商工会議所の日系企業の加入数がタイを抜いたほどだ」

 --進出企業のトレンドは

 「人件費が高騰する中国からの生産シフトはなくなり、日本国内が縮小する中でベトナムの消費市場や輸出拠点の成長性を見越した投資が増えている。製造業よりも流通やITなどサービス業の幅が広がっている」

 --具体的には

 「ミズノは子供たちの肥満が多いことに着目。狭い校庭でもできる遊びながらのスポーツプログラムを提案する。スポーツクラブのルネサンスやヒップホップのダンス教室ADSJも人気だ。教育熱が高く、新ブランド好きの国民に多様なサービスが受け入れられている」

 --人材への期待も高い

 「日本の人手不足を補うための製造業や介護分野の技能実習生が増え、技術継承や経営を伝授する間に信頼関係が生まれ、帰国した実習生や留学生らと協業するベトナム進出の相談が増え、市場開拓の好例になると思う」

 --海外勢の存在感は

 「韓国はサムスングループの工場から全世界にスマートフォンが輸出され、ベトナムの貿易黒字の立役者だ。在留韓国人の数は日本人の約10倍で、緊密な貿易投資関係を築く。ベトナム初の国産車生産には独メーカーが技術支援している。日本企業も参画できればと思う」

 --投資環境の課題は

 「流通の規制緩和や社会保障協定の締結などだ。今後もあらゆる場で環境改善を要望し続けることが重要だ」

                   

 【プロフィル】北川浩伸

 きたがわ・ひろのぶ 慶大大学院商学研究科博士後期課程単位満期取得退学。1989年日本貿易振興機構(ジェトロ)入会。ロンドン・センター、総務部総務課長、サービス産業部長などを経て、2017年2月から現職。東京都出身。